地下の鳩 西加奈子

 

遅かれながら、最近西加奈子さんにハマってます。といっても地下の鳩で2作目なんですけどね。すぐハマってるっていうの、私の悪い癖だと思う。一作目はサラバ!を読ませてもらったんですけど、感動と衝撃の嵐。今回の地下の鳩は、そういった感動と衝撃(ある意味衝撃的な作品ではある)の嵐では無かったものの、混沌としたミナミの街を描き切っている感じがしました。

 

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兎にも角にも、主人公が圧倒的にキャラが濃い。と思えば、その他の登場人物も全てキャラが濃い。内容としては、恋愛ものになるとは思うんですけど、まったく違った恋愛ものになってる。私の主観で勝手に意見を言うと、死んだような恋愛、救いがないな。って思ってしまう。だけど、そんな恋愛模様を見てると、私は不思議と救われてしまうんですよね。すごく嫌な人間なんですけど。あぁ、この中に書かれているものより、私はまともに生きれている。だから大丈夫って。何が、どう大丈夫なんだ!?って自分でも思うんですけど、他人の不幸は蜜の味って言うじゃないですか。だけど、主人公はヒロインの事を「駄目だ、嫌いになる!」って思うことが何度もあるんですけど、最後まで、まだヒロインの事が好きだったって終わるんです。それがとても良かった。

先程、死んだような恋愛、救いがないって言ってしまったけど、よくよく考えてみると、まだ好きな状態ならそれは真実だと思った。きっと、この後主人公はいい風に変わっていくんだろうなぁという兆しが見えた気がした。

 

やっぱり西加奈子イイヨ!あんな風に個性的なキャラクターを作りたいし、心理描写も上手くなりたい。